むし歯治療

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むし歯の治療

むし歯になる原因

むし歯は、『歯』に関する要因、『菌』に関する要因、『砂糖』に関する要因の3つの要因が合わさってできてしまいます。有名な「Keyesの3つの輪」と呼ばれる考え方があります。 3つの輪が描かれており、それぞれ3つの輪が重なったところがむし歯の発生を表しています。3つの要因は、どれも完全にゼロにすることはできませんが、重なり合う部分の面積を小さくすることはできます。 重なり合う面積をできるだけ小さくするように工夫することが重要です。 さらには、この3つの輪に『時間』追加した、Newburn の4つの輪という考え方も、新しく提唱されています。

参考文献

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つまり重要なことは
  1. むし歯に強い歯を作ること
  2. 菌の数を減らすこと
  3. 砂糖の摂取を制限すること

むし歯の原因は「菌」です。主にミュータンス菌(別名むし歯菌)という菌がお口の中で増殖し、酸を作り出すことで歯を溶かし「むし歯」とよばれる状態が生じます。 そして、そのむし歯が酸を作り出すための栄養源しているのが、お口の中の糖分や糖質となります。昔から甘いものを食べるとむし歯になりやすいといわれれて来たのは、知ってか知らずかわかりませんが本当のことだと言えます。

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それでは、甘い物を食べた後にすぐに歯を磨けばむし歯にならないかというと、そうではありません。むし歯菌が好むのは歯と歯の間や歯の隙間、歯の複雑な溝の中など、歯ブラシが届かないところばかりです。 これが誰もが一生のうちに一度はむし歯を患うと言われる所以です。
これらをすべて歯磨きで取り除くということは非常に困難なことなのですが、歯磨きは、自身で予防するためには不可欠なケア方法です。
ご自宅で出来ることといえば歯磨きやフロス程度となりますので、まずはそれらをしっかり行うこととが自分でできるたった一つの予防法と言えます。 むし歯は時として想像を絶する痛みを伴うことがあります。なるべくむし歯にならないためには、以下の3つを実践してみてください。

  1. 食後30分後ぐらいを目処に歯を磨きましょう
  2. 食習慣として「甘い物」の食べ過ぎに注意する
  3. 歯科医院で定期的に検診を受ける
  4. むし歯をそのままにせず、きっちり治す

この4つのケアができれば、かなりの確率で予防は出来ると考えられます。
ある有名な研究では、食事以外の間食として砂糖を摂取することはむし歯のなりやすさに影響を与えると報告されています。

参考文献

むし歯の進み方

c1

エナメル質と言う歯の一番外側の組織に小さな黒ずみのような孔があいた状態です。よほど目立つ場所でなければ自分で見つけることはできません。この時点では痛みもなく、自覚症状はほとんど感じられませんので運良く発見しても経過観察になる場合もあります。この程度であれば、自由診療にはなりますが削らずに治せる治療法も有効な場合がありますが、全てのC1に適応されるわけではありません。まずはご相談下さい。

c2

エナメル質を突き抜け象牙質にまでむし歯が進行した状態です。C2の時点では痛みを多少感じる場合も、全く感じない場合もありますが、見た目では見える場所にあれば「むし歯」と認識できる状態になっています。削らずに薬品で治す事が可能なこともありますが、削らなければならない場合が多いです。

c3

むし歯が歯髄という歯の神経まで達してしまった状態です。ここまで進行すると痛みや、場合によっては腫れを伴うこともあります。治療する際には神経を抜く「抜髄」という処置を行いますので、詰め物ではなく被せ物の治療になることが多いです。神経を取ると歯は残りますが、歯髄から歯への栄養の供給が止まりますので脆くなっていきます。

c4

むし歯が進行して歯の根が残っただけの状態です。こうなると根の周囲に溜まった膿が強い匂いを発し、口臭もひどくなります。神経は死んでしまっていますので痛みは感じることはありませんが、むし歯菌は感染しますので、他の歯やご家族の方への感染も危ぶまれます。治療は残った根の状態しだいですが、抜歯になることも多いです。

むし歯の治療法

むし歯の治療法は大きく分けると「1.再石灰化を促し経過観察」「2.削って詰める・被せる」「3.歯を抜いて欠損補綴」の3つに別れます。
つまり1以外は削って詰めるという外科療法になります。歯が元の姿に戻るわけではないので、風邪や骨折が治るのとは全く違います。

むし歯は歯に穴が空いてしまった時点で、黒くなった部分を取り除く必要があります。最近では、むし歯だけを取り除く薬剤や治療法も出てきていますが、殆どの場合適応されるのは初期のむし歯のみのものが大半となります。 アップル歯科では自由診療でそれらの治療法を行うことも可能ですが、臨床での成果が曖昧なものは取り扱わないことがあります。

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歯を削らない場合

初期のむし歯で、まだ黒くなる前の状態や、黒い孔が極めて小さい場合などは、慌てて治療をせずに経過観察をすることがあります。歯は削ってしまえば二度と元には戻りません。 ですから削らずにフッ素を塗ったり、歯磨き等で念入りに予防して頂き、歯科医院で定期的に経過を診ていきます。これは歯の再石灰化を促したり、進行を止めたりするためです。 写真の赤丸で囲んだ中心あたりが初期のむし歯の状態です。歯科医院での定期研修が有効とされる理由の一つは、この段階でむし歯を見つけることができる可能性があることが挙げられます。

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歯を削って樹脂を詰める

主にC1・C2の場合のむし歯の場合に有効です。むし歯を取り除いたところを白い樹脂で埋めます。技術力の高い歯科医師なら、パッと見た程度では「詰めた」ことがわからないほどキレイに仕上げることも可能です。

ただし樹脂の寿命はそう長くはありません。経年とともに変色や劣化が進みますので、取れたり色が合わなくなった時点でやり替える必要性も出てきます。
ただし、「歯を削る量が最小限」であることや「時間や回数を抑えることができる」ため、樹脂で対応出来る場合は樹脂での治療をご提案することもあります。

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特にC1の場合は、エナメル質に限局した虫歯です。私たちは、コンポジットレジンという歯科材料を歯に『接着』させて治療しています。その接着は、象牙質に比べエナメル質で強いという報告が散見されます。 さらにエナメル質と象牙質の境目である、エナメル象牙境は最も接着が弱く、破断が最も起こりやすいと言われています。エナメル質に限局した虫歯の間に修復することで、より予知性の高い治療が実現できるとされると考えられます(※1)。

さらに接着を有利にするためには防湿が重要になります。最も接着を阻害するものとして

  • 1.呼気中の水分
  • 2.唾液
  • 3.血液

等が挙げられます(※2)。
そのためにはラバーダム防湿が必要です。接着性の高い治療を受けたい方は、ラバーダム防湿(自費)をご案内しています。

参考文献

むし歯を削った部分に詰める「インレー」

むし歯を削った部分に入れる詰め物(インレー)を詰めるという一般的な治療法です。 まず、むし歯に侵された組織や隣接している組織を削り取り、削った歯や周りの歯の型を取って金属や陶磁器をその形に加工し、削った部分にセットする方法です。 むし歯が大きく、削った面が歯の4面を覆って修復する場合はアンレーと呼ばれる詰め物になりインレーより費用が少し大きくなります。

奥歯の大きなむし歯に対し、コンポジットレジンによる修復とインレーによる修復を比較した論文があります。 奥歯のように力がかかりやすい部位に対する治療の失敗率は、コンポジットレジンで2.2%、インレーで1.9%と言われていますので、私たちはより成功率の高いインレーによる治療を選択しています。

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参考文献

Manhart J,Chen H,Hamm G,Hickel R 永久歯列の臼歯における直接・間接修復に関する臨床的生存に係わる論評

むし歯を取って台座を作り、人工の歯冠を被せる「クラウン」

歯を台座状に削ったり、台座としてコアを埋め込みその上に人工歯冠を被せる被せ物(クラウン)治療です。
歯の神経を抜いた(抜髄)場合は支台歯が残りませんのでコアの適用となります。

上のインレーと同じく、白い歯やむし歯になりにくい素材の歯にしたい場合は一部の例外をを除き「自由診療」となりますので、アップル歯科では、補綴(詰め物や被せ物)治療の際に必ず補綴カウンセリングにてどんな被せ物のがあり、どんなメリット・デメリットがあるかを保険も含めてご説明しています。

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むし歯治療についてのQ&A

むし歯治療ついてのよくある質問

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Q.むし歯治療は痛いですか?
A.麻酔をしっかり効かせますので、出来る限り痛みを感じないよう配慮します。麻酔がしっかり効いていれば歯を削る際も痛みを感じることは少ないです。ただし、削る際の不快感はありますので治療を止めてほしいときは手を上げてお知らせ下さい。
Q.むし歯は再発することが多いというのは本当ですか?
A.再発するリスクはあります。実際に歯科医院で行う虫歯の治療の多くは再発した二次カリエスの治療です。これはむし歯の取り残しが原因ではなく、補綴物(詰め物や被せ物)の接着の隙間や裏側にむし歯菌が入り、感染することが多くの理由です。100%むし歯の再発を防ぐ方法はありませんが、再発を出来る限り予防したい場合はドクターカウンセリングを受診して、選択する治療法を検討して下さい。
Q.何も言わなければ銀歯が入りますか?
A.いいえ。患者様にお選びいただきます。補綴カウンセリング等で確認の上補綴を決めていただきます。問診票で保険のみの治療の欄にチェックが入っていても確認を行います。
Q.虫歯は放っておいたら大きくなりますか?
A.もちろん大きくなると考えて下さい。むし歯ができる理由には、歯が弱いこと、むし菌の存在、砂糖、それらが一定の時間歯の表面に存在することが挙げられます。なので、むし歯を放置して時間が経過するということは、むし歯が進行することに繋がります。
Q.虫歯になりやすい人となりにくい人はいますか?
A.はい、どちらもおられます。虫歯の主なリスク因子としては、歯垢がたくさんあること、歯並びが悪いこと、噛む力が強いことが挙げられます。この3つを満たしている方ほど虫歯になりやすくなり、リスク因子が少ない人ほどなりにくい(虫歯にならないわけではありません)と言えます。
Q.虫歯が見つかれば絶対に削ってしまうのですか?
A.絶対とは限りません。エナメル質に限局した初期虫歯であれば、初期う蝕の治癒、または重症化予防を目的に、削らずフッ素を塗布して経過を見ることがあります。まずはご相談下さい。
Q.歯を削る時の音が怖いのですが、どうにもならないですか?
A.当院では、治療中の音を遮断するために、音楽プレーヤーやイヤホンの貸し出しを無料で行っています。もちろん、ご自身の形態やイヤホンを使っていただいても構いません。好きな音楽を聴きながら、リラックスして治療を受けて下さい。
Q.保険で白い歯を入れることは出来ますか?
A.可能です。CADCAM冠という補綴物です。但し適応には限りがあり、歯がないところがある場合や強い歯ぎしりが認められる場合は使用出来ません。自由診療のセラミックの歯のような自分の歯に近いものではありませんのでご注意下さい。材料としてはプラスティックと同じですので、割れる・着色しやすい・見た目の問題からメリット・デメリットをご理解頂いてからご判断いただいています。当院では治療実績の観点から、安易おな薦めはしていません。
Q.保険で白い詰め物は出来ますか?
A.可能です。ただし隣接面にむし歯がある場合はインレーになるため、樹脂による治療は出来ません。時間をかけて精密な治療をご希望の場合は自由診療をご検討下さい。
Q.神経を残すことはできますか?
A.出来る限り残したいと考えています。ただし、どうしても神経を取る処置が必要な場合は、予めご説明の上抜髄の処置に入ります。ただし、保険では抜髄であっても自由診療であれば残せる場合はご説明の上患者様にお選びいただきます。
Q.むし歯の治療回数はどれぐらいかかりますか?
A.むし歯の数や場所、進行の状態によって違いますが、C1(軽度)であれば1回(1回2歯程度治療可能)、C2(中等度)であれば2〜3回(1回2歯程度治療可能)、C3(重度)であれば神経を取る処置が必要となりますので、1歯につき5〜10回程度かかります(1回1歯のみほ治療)。C4は抜歯となり、抜歯後の治療の内容に応じて3〜10回の治療となります。
Q.保険での治療を考えていますが、自由診療の話だけ聞くことは出来ますか?
A.もちろん可能です。カウンセリングを受診下さい。保険も自由診療も考えられる治療を複数ご説明します。そのうえで保険の治療を選んでいただくことも問題ありません。
Q.虫歯の治療の費用を教えて下さい。
A.費用はむし歯を削った後の補綴物がインレー(詰め物)かクラウン(被せ物)によっても異なり、更に銀歯か白い歯かによっても異なります。保険の治療であれば3割負担の場合で初診料が3,000円前後、インレーが1歯1,500前後(処置費用含めて3,000〜4,000円)、クラウンが1歯3,000円(処置費用含めて1万円前後)、自由診療の白い歯であればインレー40,000円〜50,000円、クラウン70,000円〜130,000円(別途税)となります。
Q.複数のむし歯があるのですがまとめて治療はできますか?
A.通常、1回の来院で2歯程度の処置となります。右側と左側にある場合など、部位が離れている場合など2回に分けることもあります。抜髄などの処置は基本的に1日1歯となります。早く治療を終わらせたい場合や治療が極端に苦手な場合は自由診療となりますが複数の歯をまとめて治療する方法もあります。
Q.詰め物や被せ物を治療の途中で変更することは可能ですか?
A.不可能ではありませんが、こちらが聞いたタイミングでお答え頂く方が好ましいと言えます。保険診療と自由診療では同じむし歯でも歯を削る量や削り方、印象(型取り)の材料等も異なります。もちろん持ち帰って考えて頂く猶予もありますが、治療が進んでから変更となると、再形成(削り直し)や再印象(型取りのやり直し)が必要となりますのでご注意下さい。
この記事の編集・責任者は歯科医師の梅川 真由子です。
DR梅川

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