歯磨きをしないと、歯と歯の間や歯茎の溝に歯垢やプラークと呼ばれる汚れが溜まります。これらは食べかす(食物残渣)ではなく細菌の塊ですので、放っておくと炎症を起こしたり出血したりします。
歯垢を放っておくとやがて歯石と呼ばれる石のように硬い汚れとなって、ザラザラとした表面はさらに汚れを付着しやすくします。
炎症が悪化すると、歯茎だけでなく歯を支える骨にも影響を及ぼして、顎の骨を溶かしてしまいます。この一連の症状を歯周病と呼びます。
歯周病は非常に多くの人が感染する病です。罹患率に関しては様々なデータがありますが、最新の歯科疾患実態調査では歯周病が疑われる4mm以上の歯周ポケットを持つ人の割合は30代以降から非常に多くなっていることがわかります。(※1)
ですが、歯周病は痛み等の自覚症状が少なく「沈黙の病」とも呼ばれていることからも、検査で歯周病が疑われたとしても実感が少ない人が大半だと思われます。
気づかないからと言って放置してしまうと、顎の骨を大きく失ってしまい、歯もグラグラとして最終的には抜けてしまいます。
一度喪失した骨や退縮した歯肉は自然に元通りにならないので、歯医者での定期的なクリーニング・治療が重要となります。
平成28年 歯科疾患実態調査結果の概要より独自に作成
※参考文献1)4mm以上の歯周ポケットを持つ者の割合は、高齢になるにつれ増加しており(表20、図20)、年次推移を見ると、今回調査ではほぼ全ての年代で高値を示した(表21、図21)。
軽度の歯周病は歯石が溜まって周辺の歯肉が赤く腫れていたり、歯磨きの際に出血がある状態です。歯周ポケットの深さは4mm以内が目安となります。
この段階だと保険診療のクリーニングで早期の回復が見込めるため、治療後のセルフケアも継続していただくことで歯周病の進行を防止できます。
総額4,000〜6,000円程度(3割負担の目安)
1〜2ヶ月程度(通院2〜3回)
中等度の歯周病は歯茎の腫れ・出血もよく起きるようになります。歯周ポケットの深さは4mm〜5mmと深く、歯槽骨が3分の1ほど溶かされているため触ると歯が揺れるような状態になります。固いものの食事も段々と難しくなるため、この段階で歯周病を自覚する方も多いです。
歯の根の目視できない部分に歯石(縁下歯石)が付着している場合が多く、症状の改善がみられない場合は歯周外科治療も必要になる場合があります。
総額10,000〜14,000円程度(3割負担の目安)
2〜4ヶ月程度(通院5〜7回)
重度の歯周病は歯茎がブヨブヨとして腫れ、出血や排膿(膿が出ること)がよく起こり口臭もひどくなります。歯周ポケットは6mm以上となり、歯の揺れが激しく、顎の骨が大きく失われている状態です。
この状態になると、ご自身だけの力で治すことはほぼ不可能と言えます。症状の度合によっては歯周外科治療を行う場合もあります。最大限の治療ができるように努めますが、回復が見込めない歯は抜歯しなければならない場合も多くあります。
総額14,000〜18,000円程度(3割負担の目安)
4〜5ヶ月程度(通院7〜9回)
歯周病の末期になると歯槽骨はほぼ無くなってしまい、前後左右に歯がぐらつきます。残っている歯が20本を下回っていることがステージⅣの一つの目安ですが、この状態になると歯を保存していくことは難しいと考えられますので、歯を抜いた後の治療がメインになるでしょう。
歯周病は進行するほど回復が難しくなります。この状態になる前に歯医者を受診するようにしましょう。
どんな歯科治療でも重要なのが、毎日の歯磨きです。特に歯周病治療では毎日溜まっていく歯垢を取り除くためにも歯磨きは欠かせません。
個人によって磨き方や適切な歯ブラシは違いますので、治療と並行して正しいブラッシングを継続していくことが大切です。模型を使った正しい歯磨き指導や磨き残しの多い場所の確認を行います。
歯周病治療は基本的に、歯周病の原因となっている歯垢・歯石を取り除くことを目的としています。スケーリングは、スケーラーという歯石を取るための専用器具で綺麗にする治療方法です。
歯石はどんな人でも時間の経過で付着してしまうものですので、定期的な歯科検診で歯石が溜まりすぎないようにしましょう。
スケーリング&ルートプレーニングは、歯の根に着いている歯石を取り除き、歯周病の進行によって汚れてしまった歯の根(ルート)を綺麗にする治療です。基本的には中等度以上の歯周病の場合に行う治療です。
歯の根の表面についた汚れを取り滑らかに仕上げることで、歯肉が再度付着するのを促したり新たな歯石の付着を予防できます。
通常のスケーリングよりも深い場所の施術になるので、痛みが出やすいというデメリットもありますが、保険診療で受けることができます。
スケーリング等の治療のほか、外科的な処置を行う歯周外科治療というものがありまあす。
また、この治療は歯周外科治療の中でも保険適用で行える治療です。治療にあたりスケーリングやルートプレーニングでも歯周病が改善されず歯科医師が必要と判断した場合という条件がありますが、より確実に治療することができます。
デメリットとして術後の痛みが出ることや、歯茎の位置が下がってしまい、ブラックトライアングル(歯と歯の間の隙間)ができてしまうリスクがあります。
フラップ手術のイメージ
遊離歯肉移植術・結合組織移植術は、歯茎が下がってしまっている箇所や、歯茎の厚みが足りない場所に、他の場所(主に口蓋)から切り取った歯肉を移植することで、歯周病の進行を防いだり見た目の改善をする歯周外科治療です。
歯周病になりにくくするには、細菌に対する抵抗力の高い角化歯肉(引っ張っても動かない歯肉)が必要になります。歯肉が退縮した部分に角化歯肉を移植することで清潔に保ちやすい環境を作り、見た目も回復することができます。
ただし、完全に元通りの自然な見た目に戻るとは限らないことや、歯肉の移植は自由診療になるため負担費用が大きくなる点は注意する必要があります。
遊離歯肉移植術のイメージ
エムドゲイン・GTRといった治療は、無くなってしまった歯槽骨(あごの骨)の再生を促すことで口腔内の状態を回復させる歯周外科治療です。
歯周病やその他の要因で溶けてしまった骨は自然に元通りにはなりませんが、骨が再生できる環境や状態を作ることができれば、溶けた部分の骨を治すことができる可能性があります。
特殊なゲルを歯の根本に注入することで骨の再生・歯への接着を促すエムドゲイン法や、歯肉と骨を特殊な膜で遮断して骨の再生を促すGTR法などがあります。
エムドゲイン法のイメージ
重度に進行した歯周病は歯周病治療のほかに、歯周外科治療・抜けた歯の治療(入れ歯・インプラント等)・骨を再生する骨造成などが必要になることも多く、歯周病を治すための治療だけでは口腔内の機能を回復できないことがほとんどです。
ですので、歯周病を放置するのは健康面・経済面の両方でデメリットしかありません。歯周病は大きな痛みがなく気づきにくいというのは確かですが、歯肉の腫れや出血などの兆候でわかることも多いため、重症化してしまう前に少しでも異変を感じたら歯医者に受診しましょう。
歯周病を予防・悪化させないためには、正しいセルフケアを行い歯垢・歯石を溜めないことが重要です。そして、どんなに丁寧なセルフケアでも歯石は徐々に溜まってしまうため、定期的なクリーニングが必要です。
通う頻度は3〜4ヶ月に一度が目安と言われていますので、特に悪いところが無くても年に3回程度は受診した方がよいでしょう。歯周病の予防のほか、小さな虫歯などの早期発見に繋がり、より健康な生活を実現できるはずです。
歯周病の症状がある方・歯周病の疑いがある方・歯周病を予防したい方は、一度歯医者に受診していただいて、ご自身のお口の中を詳しく検査してもらうことをお勧めいたします。
三宮アップル歯科
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