補綴の材料と特徴、適正について

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歯の修復物の材料と方法

あなたのお口の中にこんな修復物は入ってませんか?

写真1はアマルガムという、水銀を含む合金の総称です。1818年にフランスの歯科医師L.Regnardが使用したのが初めてと言われています。以前は、簡単で安いという理由で、広く用いられてきましたが、最近ではアマルガム中の水銀によるアレルギーや環境汚染問題がクローズアップされるようになって、日本ではあまり行われなくなってきました。

お口の中にあるアマルガムからは、食事の際の咬合により、微量の水銀が溶け出しています。金属アレルギーのある患者さんにとっては、これがアレルギーの原因になっている例もあります。ただし、アマルガムが原因で、重篤な健康被害が生じるということはほとんどないと言われてはいますので、早急に外す必要はありませんが、お口と体の健康のことを考えるのであれば、リスクは極力無くしていくことが重要です。(※1)

当院では、お口の中に古いアマルガムがあり、経年劣化により適合が悪くなっている場合は、お口と体の健康のためにも撤去とやり変えをご提案することもあります。

写真1:アマルガム

※1)歯科用アマルガムからの水銀曝露による健康影響に関する報告は否定的な報告が多い。しかしながら,より規模の大きな人口集団が低濃度の水銀に曝露されたとき,水銀に対する感受性の高いヒトには影響が出る可能性は排除できないと思われる。

どんな補綴物(詰め物や被せもの)がいいの?

アマルガムにとって変わられてきたのは、金銀パラジウム合金という金属や、コンポジットレジンやセラミックという白い素材です。

パラジウムは強度が高く、保険が適用されることから選択肢として1番に考える方も多い素材です。しかし、見た目や機能を考えた上で、費用というハードルがなければほとんどの人は白い修復物を選びます。現に海外では歯の修復物に銀歯を用いる国は少なく、パラジウムに使われる成分が体に悪影響を与える可能性が高いということで、ドイツやスウェーデンなどは補綴物としての使用を禁止しています。

金属は口腔内にいれるとイオン化するため、体内に吸収される可能性のある素材です。金属アレルギーなどの身体的影響を考えれば、金属ではない修復物を使う方がリスクは低いと考えられます。

また、近年歯科業界では、ミニマルインターベーション(MI)といって「最小限の介入」が適切であるという考えが主流になってきています。例えばむし歯の治療で金属の詰め物をするとなると、むし歯を除去して金属を入れるために歯の形を整える「形成」という処置で更に歯を削る必要があります。コンポジットレジンによる治療はこの形成による歯の切削量を最小限に抑えることが可能ですので、MIの観点からも小さな虫歯に対しては適した治療であると言えます。

アマルガム

           

コンポジットレジン

           

しかし、最終的に大切なのは、患者様にとってのプライオリティ(優先順位)です。費用なのか、見た目なのか、虫歯の再発リスクなのか、患者様が何を大事に考えるかを考慮した上で、歯科医師が適切な情報や治療法をご提案することが大切であると考えます。当院では、カウンセリングにて患者様のご希望をお伺いした上で、職業・予算・こだわりなどを考慮し、適切な治療法をご提案することを心がけています。

むし歯の好発部位とその部位への治療法

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Ⅰ級窩洞
コンポジットレジン適応

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Ⅱ級窩洞
インレー(詰め物)適応

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Ⅲ級窩洞
コンポジットレジン適応

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Ⅳ級窩洞
コンポジットレジン適応

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Ⅴ級窩洞
コンポジットレジン適応

上の図はブラックの窩洞分類という、むし歯の好発部位とその部位への治療法を分類したものです。アマルガムがⅠ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ級窩洞のように詰められている方は、コンポジットレジンでの修復、Ⅱ級窩洞のように詰められている方は、セラミックでの再治療が可能となります。コンポジットレジンは臼歯部の修復の第一選択とされており、適切な治療が施された場合、長期の生存率が期待できるとされています(※2)。虫歯に対するコンポジットレジンを用いた修復は、保険治療でも自由診療でも可能です。見た目を重視する場合は自由診療をご選択頂ければ、時間をかけて審美性を考慮した治療が可能です。お気軽にご相談下さい。

※2)コンポジットレジン修復が実行されるとき、患者・術者・および材料の要因が考慮された場合、後部複合修復の長い生存率が期待できます。

各補綴物の材料と特徴

コンポジットレジン(保険適応可)
コンポジットとは混合という意味で、コンポジットレジンは有機質のレジン(樹脂)と無機質のガラス粉などを混ぜ合わせて作った歯の修復物です。白くて舌触りもなめらかなため、見た目・使用感共に違和感の少ない材料です。過去には強度や経年劣化の問題から敬遠された頃もありました、近年は大幅に改善されていますので、小さな虫歯に対してはよく使われている素材です。ただし、改善されたといっても強度は金属劣り、見た目や清掃性はセラミックにかないません。また、部位によったり食いしばりの強い方の場合は適切な材料とは言えない場合もあります。
パラジウム(保険適応可)
銀を主成分として、金を12%以上、パラジウムを20%以上含んだ合金です。いわゆる銀歯です。金属の中では比較的軽くて上部ですが、見た目は歯の色とはかけ離れています。前歯の場合は表面をレジンで白くした前装冠というものを使います。日本ではメジャーな歯科材料ではありますが、海外では、金属アレルギーのリスクから歯科材料としての使用を禁止している国もあり、国際的にはスタンダードな治療とは言えない材料です。
ハイブリッドレジンブロック(保険適応可)
CAD&CAM冠という保険の白い歯に使う材料です。。見た目は白く、一部保険適用が可能ですが、金属のような耐久力やセラミックほどの審美性はありません。小臼歯や大臼歯のクラウン(被せ物)に条件付きで保険適用可能です。着色や経年劣化に弱く、年を重ねるとともに変色してしまいます。金属冠に比べ装着後短期間での脱離の発生率が高いと言われています。インレー(詰め物)には適応されません。
金合金(自由診療のみ)
金を主成分とした合金です。金歯とも言われます。歯科では硬度の問題から主にK20、K18という合金が使用することが多いです。親和性が高く、柔軟性もあるため対合の歯を傷つけない、2次カリエスになりにくいなどのメリットはあるものの、「金色」という見た目のデメリットはあります。但し、保険は適用されませんのでコストはかかってしまいます。
オールセラミック(自由診療のみ)
陶材でできた歯です。審美性に優れており、親和性も高く、清掃性も良いことからむし歯や歯周病のリスクは他の材料に比べ低いことがわかります。金属アレルギーの心配もありません。技工士の手が加わることとで、天然の歯と区別がつかない程度まで近づけることができます。但し、保険は適用されませんのでコストはかかってしまいます。
Emaxセラミック(自由診療のみ)
二ケイ酸リチウムガラスを主成分とする新しいセラミック素材です。審美性に優れていて、インレー・クラウン・ラミネートベニア等で使用します。通常のセラミックよりも強度が高く、天然歯に近い透明感が特徴です。金属アレルギーの心配もありません。通常のセラミックよりも強度が高く、天然歯に近い透明感が特徴です。汚れや色素も付着しにくく、むし歯や歯周病リスクも低いです。但し、保険は適用されませんのでコストはかかってしまいます。
ジルコニアセラミック(自由診療のみ)
ジルコニア(人工ダイヤモンド)を歯の内側に使用したセラミックです。セラミックの弱点としては、金属ほどの強度はないことですが、ジルコニアを内側に使うことで審美性を保ったまま強度を高める事が可能です。もちろんセラミックの清掃性や透明感はそのまま受け継いでいますので、むし歯や歯周病リスクも他の補綴より低くなります。但し硬度が高いため調整が難しいことと、保険は適用されませんのでコストはかかってしまいます。
実は歯の修復物の適合に重要な印象採得(歯の型取り)

ドロッとしたピンクのペースト状のものをトレーに載せてお口の中で噛むことで歯の方を取る印象採得。「長い」「苦しい」「えずく」「まずい」など、苦手な方も多いのではないでしょうか?しかしこの印象採得は、新しくお口に入る歯の精度が大きく左右される大事な工程なのです。このトレーに盛る印象材の正体は、当院の場合アルジネート+寒天、もしくはシリコン印象材などです。通常、保険診療ではアルジネートを使用することが多いです。

印象材の材料の違いによって何が変わるかというと「歪み」です。歪みが少ない印象材ほど、精度の高い模型を作ることが出来ますが、歪みがなさすぎると、印象材をお口の中から取るときに強い痛みを覚えたり、口腔内を傷つける可能性も考えられます。外して固まった印象材に石膏を流すことで出来た模型を元、補綴物(詰め物や被せ物)はつくられます。つまり、印象採得の精度により補綴物の精度も大きく影響されることになります。

※3)このin vitro試験の制限内で、Lava COSを使用した直接デジタル化は、従来の印象取得および間接デジタル化の手順と比較して統計的に有意に高い精度を示しました。(訳)

※4)このin vitro研究の制限の範囲内で、デジタル印象システムは、従来の印象法と同様の精度で固定補綴修復物の製作を可能にすると言うことができます。(訳)

型取りの必要をしない印象採得「光学印象」

近年、これまで何十年も同じ手法で行われてきた歯の型取りの工程を大きく変える機器が本格的に臨床の現場で使われ始めています。

それはデジタル技術を活用した「光学式印象」です。光学式印象は口腔内を光学式口腔内スキャナーというカメラでぐるっと撮影するだけで、歯や歯肉の形や状態を、3Dデータとして読み込みます。
デジタル印象の精度は年々向上し、現在では従来の印象と同程度の精度があるという研究も多くあります。(※3)(※4)

三宮アップル歯科ではこのデジタル印象を採得出来るスキャナーとしてプライムスキャンiTeroという異なる2種の光学式口腔内スキャナーを導入しています。印象採得も歯科治療と同じくどんどん進化し、用途や治療法によって方法や種類も異なります。三宮アップル歯科ではカウセリングを通じ、患者様の要望や希望に応じたて、印象採得の方法使い分けています。

iTero

           

プライムスキャン

           
当院で使用している印象採得の種類と特徴
印象採得の種類 種別 用途 特徴
アルジネート+寒天 印象材 保険診療 寒天の上からアルジネートで固める方法です。印象材の中では扱いが比較的容易なこともあり、多くの歯の型取りで使用されます。変形しやすいという欠点もありますが、印象後速やか石膏を流すことで寸法変化を抑えることが可能です。
シリコン印象 印象材 自由診療・補綴 固まるとゴムのようになる印象材で、アルジネート+寒天に比べて歪みが少ないため変形しにくく、アルジネート+寒天よりも高い精度の型が取れます。コストが高いため保険適用外での治療のみに使用可能です。
iTero 光学印象 自由診療・矯正 光学式口腔内カメラにより歯の位置や形を計測し、模型ではなくDATA可して歯を作るための印象方法です。iTeroで撮影したDATAに指示を加えてメーカーに送ることで、そのままマウスピース矯正装置を作成することが出来ます。
プライムスキャン 光学印象 自由診療・補綴 光学式口腔内カメラにより歯の位置や形を計測し、模型ではなくDATA可して歯を作るための印象方法で、iTeroよりも早く・精密に計測できる光学印象です。撮影したDATAを歯科技工士に送ることで模型を作らずシリコン印象と同程度の精度で歯を作ることが可能です。
この記事の編集・責任者は歯科医師の梅川 真由子です。
DR梅川
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補綴の材料と特徴、適正について | 公開日: 2020/02/14 | 更新日: 2020/02/20 | by 三宮アップル歯科

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