現在の矯正事情
近年、歯列矯正をする人は、年々増えてきています。その中でも当院ではマウスピース矯正という、マウスピース型の取り外し式矯正装置を使った治療が2019年と2020年の間に6.5倍に増えました。この理由として考えられる1つは日本人の歯並びに対する意識が高まってきたこと、2つ目に「コロナ禍でマスクをしているので今のうちに歯並びを治したい」という患者様がとても多いこと、そして3つ目はマウスピース矯正、特に当院でも取り扱っているインビザラインというメーカーの矯正装置の治療精度がかなり良くなったことが挙げられます(あくまで当院の見解です)。これによりこれまでワイヤー矯正を主流に扱ってきた矯正医も、多くがマウスピース型矯正装置を取り入れるようになりました。
マウスピース矯正は、目立ちにくい・痛みが少ない・手入れが簡単・歯の動きが趣味レーションで見られる・ワイヤー矯正に比べて来院回数が少ないなどのメリットがあるのは確かです。
しかしながら、文献を調べるとマウスピース矯正は従来型のワイヤー矯正よりも治療結果がよくなかった(※1)というものや、マウスピース矯正の方が矯正後の後戻りが多く生じた(※2)などのネガティブなものが散見されていのも事実です。
そのため、これらの事柄をどのように解釈するかは、現時点では非常に難しい状態であると考えます。
※1)The Invisalign group lost 13 OGS points more than the braces group on average, and the OGS passing rate for Invisalign was 27% lower than that for braces. Invisalign scores were consistently lower than braces scores for buccolingual inclination, occlusal contacts, occlusal relationships, and overjet.( Invisalignグループは平均してブレースグループより13 OGSポイント多く失い、InvisalignのOGS合格率はブレースより27%低かった。インビザラインスコアは、頬舌傾斜、咬合接触、咬合関係、およびオーバージェットのブレーススコアよりも一貫して低かった。)
※1)The change in the total alignment score in the Invisalign group was significantly larger than that for the Braces group. There were significant changes in total alignment and mandibular anterior alignment in both groups. (Invisalignグループの合計アラインメントスコアの変化は、Bracesグループの変化よりも有意に大きかった。両方のグループで、全体のアライメントと下顎の前方アライメントに有意な変化があった。)
しかしながら、歴史を振り返ると矯正治療において少し前までは、ワイヤーを専門医が曲げて治療するいわゆる「スタンダード矯正」というものが主流でした。その時代においては、現主流のストレートワイヤーによる矯正はエビデンスレベルが低かったのですが、今では大学教育の場でもストレートワイヤーを用いておりストレートワイヤーのみで最後まで終える場合や、もしくは最終段階ではワイヤーを曲げるがそれまではストレートワイヤーで対応していることが多くなってきています。(もちろん現在でもスタンダードを主流としている矯正歯科医はいます)
何が言いたいかというと、過去にスタンダードだった治療も、時代の流れとともに変わっていくということなのです。
実際、歯科の臨床現場にいる立場から見ると、まさに今、ワイヤーからマウスピースへと主流となる治療が変わっていく様に感じています。
このように、また時代のニーズをも踏まえるとマウスピース矯正も時代とともに進化しあらゆる症例に対応できる時代がくるのではないかと考えています。
実際、多くの矯正医がマウスピース矯正に取り組み始めたことによって私自身も驚くような難症例をマウスピース矯正装置で治療したケースも多く見てきました。
臨床のみならず論文においても、軽度〜中等度の非抜歯矯正においてはマウスピースでの対応も有意差は認められなくなってきていることが分かってきています(※3)。
※3)However, there was substantial consistency among studies that the Invisalign® system is a viable alternative to conventional orthodontic therapy in the correction of mild to moderate malocclusions in non-growing patients that do not require extraction. (Invisalign®システムは、抜歯を必要としない成長していない患者の軽度から中等度の不正咬合の矯正において、従来の歯科矯正治療の実行可能な代替手段であるという研究間で実質的な一貫性がありました)
現時点での見解でいうと、骨格的に問題がある症例や重度な症例は難ケースであり、マウスピース矯正単体では今の所治療が難しいかもしれません。
しかし、咬合治療目的ではなく審美改善目的である部分矯正では、マウスピース矯正の方が、治療中の患者様のストレスやQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を考えても良いのではないかと考えています。
つまり、当院の見解を表にすると以下の様に考えています。
症例 | マウスピース矯正 | ワイヤー矯正 |
---|---|---|
重度の不正咬合 | × | ○ |
軽度の不正咬合 | ○ | ○ |
中等度の不正咬合 | △ | ○ |
審美目的の部分矯正 | ◎ | △ |
あくまで、2021年8月現在までの見解ですが、前述したように、マウスピース矯正は今後どんどんできる症例が増えてくると考えています。
しかし、現時点で言えるのは、部分矯正で介入できるものに対しては咬み合わせをイチから作り直すようなワイヤー矯正より、動かしたくない歯を動かさずに審美改善ができるマウスピース矯正の方がメリットが高いと考えていることです。
全体的な治療が必要なものに関しては、ワイヤー矯正の方が良かったり、患者様の要望によって使う装置を判断することもありますが、前歯のちょっとの歪み・隙間が気になる方には、部分型のマウスピース矯正がお薦めできると考えています。
もし、軽度の歪みやすきっ歯でお悩みなら、マウスピース矯正による部分矯正も検討してみてはいかがでしょうか。
三宮アップル歯科
曜日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
診療開始 | 9:30 | 9:30 | 9:30 | 9:30 | 9:30 | 9:30 |
診療終了 | 18:30 | 18:30 | 13:00 | 18:30 | 18:30 | 17:00 |
※日曜・祝日診療は右記診療カレンダーをご覧下さい。
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | ||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||
|
休診日
日曜・祝日診療
13時迄
アクセス・地図
公共交通機関をご利用の方へ
お車でお越しの方へ
他のエリアでもアップル歯科の治療を受けられます