歯は上下で28本(親知らずを含めると32本)あり、その歯が支えあうことによって機能・形状を維持しています。この歯が1本抜けた場合、どうなってしまうか、考えたことはありますか?
1本くらい抜けても大丈夫と考えるの少し危険です。抜けた歯は28分の1ですが、抜けてしまった歯と隣り合う歯・向かい合う歯は、力の行き場や支えを失ってしまうのです。つまり、抜けた歯が支えていた力が他の歯にかかるようになり、他の歯がどんどん抜けていく負の連鎖が始まるのです。
それを食い止めるのが抜けた歯の治療(欠損補綴)です。欠損補綴は一般的に「入れ歯」「ブリッジ」「インプラント」の3つの治療が選択肢となります。歯の移植(自家歯牙移植)もありますが、リスクの大きさ(必ず成功する治療ではない)や適応が限られている(サイズの一致・移植する歯がないといけない)事から、ここでは省略させていただきます。
短縮歯列という概念をご存じでしょうか?短縮歯列とは上下左右5本ずつ歯(合計20本)が残っている事を示しています。論文によると、機能的で美しい歯並びには少なくとも20本の歯が必要であり、前歯と小臼歯からなる歯列が機能的な歯列の要件となっています。これが80歳で20本の歯を残すという運動「8020運動」の起源です。
しかし、6番目の大臼歯がある場合と比べると、短縮歯列は咀嚼能率に重度の障害がみられたと報告されています。(※1)つまり、しっかりと食事をして栄養を摂取するためには、6番目の歯(大臼歯)が必要だということです。
短縮歯列に入れ歯で補っていく場合、機能面においては義歯を装着した方が良いが、審美・快適性・負担・虫歯予防の観点から考えると短縮歯列のままの方が良いと示されています。(※2)
歯が抜けてしまう場合、清掃のしにくい奥歯から抜けていくことが多いです。健やかな食生活を送るためには奥歯をしっかりと残すか、抜けてしまったとしても奥歯の機能を回復させることが重要です。
参考文献※1)
参考文献※2)遊離端欠損において短縮歯列の考えは義歯装着よりも、咀嚼機能に関しては推奨されないが、審美性、快適性、患者負担の軽減、う蝕の予防の観点からは推奨してよい。
歯の根っこの代わりとなる金属製(チタン)の人工歯根を埋め込み、その上に被せ物をする治療法です。独立して歯の役割を果たすことができ、しっかりとメインテナンスをすれば長期的な使用も可能となります。
インプラントのメリット抜けた歯が1本の場合、失った歯の両隣の歯を削って土台にして3本の歯を連結して並べる治療法です。固定式なので取り外しの必要はないですが、清掃性は高いとは言えません。
ブリッジのメリット一般的な着脱式の装置です。留金(クラスプ)で固定したり歯ぐきに吸着するタイプがあり、保険診療でも治療が可能です。治療期間も短く済みますが、歯肉の形状が変わったりする度に作り直しが必要となります。
義歯・入れ歯のメリット参考文献※3)インプラントの残存率は埋入部位および埋入条件により異なるが、システマティックレビュー等を参考にしたところでは部分および全部欠損症例における 10~15 年の累積生存率は上顎で約 90%程度、下顎で 94%程度である。また抜歯即時埋入や骨移植を伴った埋入では若干生存率が下がるものの 87~92%程度である。
三宮アップル歯科
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