インプラントのデメリットとリスク

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インプラントを考えるなら知っておきたいデメリットとリスク

インプラント治療を検討するなら、メリットだけでなくデメリットやリスクも知っておこう。

インプラント治療を迷われている方へ

監修:木戸きど 星周せいしゅう 三宮アップル歯科 歯科医師

歯が抜けたあとの治療法として、天然の歯に近い見た目と機能の回復ができる歯科インプラント。

ネットで見ると「しっかり噛める」「天然歯に近い見た目」など、良い点ばかりに目がいってしまいます。

しかし、インプラントに限らずどんな治療においてもメリットやベネフィットがあれば、その反対にデメリットやリスクもあります。

ここでは皆様にきちんと治療を選択してもらうために、インプラント治療のデメリットやリスクに焦点をあててご紹介いたします。

メリットばかりが取り沙汰されるインプラント、デメリットは?

インプラントはデメリットが多いの?

歯科医院のホームページや比較サイトの記事など、検索するとインプラントの記事は無数に出てきます。しかし、どの記事を見てもインプラントのメリットや、インプラントは良いという記事ばかりが目に付きます。一方で個人のブログや過去のメディアの記事を探してみれば、インプラントで失敗した例や「やめたほうが良い」という記事が見つかります。

当院がインプラントに否定的か肯定的かで言うと、肯定的です。しかし、インプラントは良い治療だからこそ、失敗してほしくないというのが私達の思いです。

歯を失った方にとって、その後の治療はとても重要で、インプラントはその選択肢の一つです。インプラントにするべきか、やめたほうがいいのか。ここでは、インプラントについてデメリットを中心に、本当に良い治療かそうではないのかを判断するための材料にしていただくための情報をお伝えします。

インプラントが入った口のレントゲン

インプラントのデメリット

治療期間が長い

インプラントは一般的な歯科治療に比べ、2〜6ヶ月と治療期間の長い治療となります。

しかし、そのほとんどは免荷期間という、インプラントと骨が結合するのを待つ期間です。実際にインプラント治療のために通院するのは、1歯の場合4〜7回程度となります。

歯が長く見える

インプラント手術をすると必ず歯が長く見えるわけではありませんが、前歯のインプラントなどで骨造成や埋入の技術力が低い歯科医師が治療にあたった場合など、起こりやすい現象です。

これは歯が抜けたことにより外的な刺激を失った顎の骨が、インプラント埋入後も少しずつ骨量が減っていってしまうことが原因か、あるいは歯を失ってから長期間治療をしていなかったり、入れ歯の期間が長くてその間に顎の骨が下がっていくことも原因として考えられます。

これらは歯科医師がしっかり骨を作る処置を持っていれば回避できますが、インプラント埋入はできても難易度の高い骨造成はできないという歯科医師もいるため、最初の歯科医師選びが肝となります。

骨量が減ったために長くなったインプラントの歯冠

外科手術を伴う

インプラントは入れ歯やブリッジという他の欠損補綴と違い、外科手術を要する治療です。外科手術には様々なトラブルがありますが、例えば口腔内を器具で切ったり、高血圧の方は治療中に血圧が上がって治療ができなくなる場合もあるため、事前に他科との相談が必要となります。

外科手術の侵襲自体は抜歯と同程度、傷口は抜歯よりも小さくなることが多いです。そのため、「手術」といっても胸や腹部の手術のように、入院や全身麻酔が必要なものではありません。一般的な歯科麻酔で手術可能(希望による鎮静麻酔などを併用)で、1歯あたりの手術時間は90分(インプラント埋入自体は15分程度)前後となります。

外科手術の様子

メインテナンスが必要

インプラントは治療後に年3〜4回、チェックとメインテナンスが必要です。メインテナンスを怠ると、インプラントの脱落につながったり、長期的な使用ができなくなることもあります。

しかし、メインテナンスが必要なのは天然歯も同じで、むしろ天然歯の方が一度失うと二度とは戻らない大切な身体の一部です。天然歯を残す意味でもインプラントを長持ちさせる意味でも歯のメインテナンスは大切です。

そうなると「いつまでも歯医者に通い続けなければならないの?」と、老後にメインテナンスに行けるかどうかなどを心配される方もおられます。(参考:インプラント治療、老後はデメリットが多い?

インプラントのメインテナンス風景

保険適用外

インプラント治療はごく一部(先天性疾患や病気等による欠損)を除いて保険の効かない自由診療です。そのため、一般的には決して費用負担の大きな治療といえるでしょう。自由診療の入れ歯やブリッジに比べてもやや高額になります。しかし、入れ歯やブリッジに比べ他の歯に悪い影響がない等、他の歯を守ることなど総合的に考えて検討すべきであると考えます。歯1本の価値で考えれば決して高額な治療ではありませんが、一般的な歯科治療と比較すると高いと感じてしまう費用ではあります。

保険証と治療の明細表、診察券

インプラントのリスク

どんな治療でもベネフィットがあればリスクがあるように、インプラント治療にもリスクが伴う場合があります。

上顎洞への迷入

稀にインプラントが上顎洞とう上顎の上にある空洞部分に迷入する恐れがあります。特にサイナスリフトやソケットリフトという上顎洞付近に骨を作ってインプラント治療を行う必要がある場合、この迷入リスクが多少高くなります。しかし、これはCT等でしっかり術前検査を行い、骨の厚みや骨質を理解することで防げます。

上顎洞に迷入したインプラントのレントゲン

感覚マヒ

下顎には下顎管という大きな神経が通っており、この近くにインプラントを埋入すると、場合によってはしばらく唇、舌、歯肉、歯牙などに麻痺が残ることがあります。これは術前にCTを撮って神経の位置を確認しておけば避けられるリスクです。CTを取らずにインプラント治療を行うと、麻痺のリスクは大きくなります。

インプラント埋入後の顎の断面3D画像

インプラントの脱離

インプラントを埋入しても、稀に骨との結合状況悪く、脱離(抜け落ちる)してしまう恐れがあります。多くの原因は喫煙や清掃不良による感染など患者様側の問題ですが、稀に歯科医院側の手術時の滅菌不良による感染が原因となることもあります。感染対策・滅菌を徹底していない医院でインプラント治療を受けるとことのリスクは大きくなります。

ロスト(脱離)したインプラント

金属アレルギーの原因となる

インプラントで埋入される人工歯根は主にチタン製のものが使われます。チタンは人工関節などでも使われる金属で、親和性が高い素材です。過去には金属アレルギーも起こりにくいと言われていたこともありました。しかし、最近ではこのチタンに関しても金属アレルギーの原因になることがわかってきています。

チタンはイオン化もしにくくアレルギーの原因となることは多くない金属ですが、金属アレルギーの症状(掌や皮膚に麻しんのような疾患など)が現れ、なかなか治らない場合はチタンに対するアレルギーのパッチテスト受けた方が良いかと思います。

金属アレルギーのイメージ

インプラント特有の感染症

インプラントには、インプラント治療をした方にしかならない感染症があります。それは「インプラント周囲炎」という病気で、簡単にいうとインプラントの歯周病です。これは天然歯の歯周病と同じで、人工歯根の周りの骨(顎の骨)が溶ける病気で、進行が進むと当然インプラントの除去が必要となります。抜歯と同じです。

インプラント周囲炎になる方は、天然歯にも歯周病があるかと思いますが、しっかり日頃のメインテナンスができていなければインプラントも病気になってしまうということです。ですから、インプラントを入れるなら、しっかり歯磨きをする、数ヶ月に一回のメインテナンスで歯科に通うという心づもりがなければ、長期的にこの高価な人工歯根を保つことができなくなります。

インプラント周囲炎のイメージ

インプラント治療をするかどうかの判断

インプラントはやめたほうがいい?

これだけデメリットやリスクを書き並べると、インプラントは「やめたほうが良いのでは」と感じてしまうかもしれません。しかし、インプラントにはこれらのデメリットを上回るメリットや、リスクがあっても安心できる成功率(※1)とベネフィットがあります。

例えば、歯の数と寿命・健康寿命は相関するということがわかってきていて、義歯を使用せず十分な歯数を保持している人と歯がない・入れ歯の人では、死亡率が1.3〜1.5 倍も違うという研究結果があります。インプラントは、入れ歯と違って、この天然歯の役割を果たすことが可能です。(参考:すぐに入れ歯が合わなくなる理由

また、インプラントの10年生存率が90〜96%に対し、ブリッジの生存率は55%〜59%(※3)と、遥かに良い成績となっています。

これらの数値的な根拠を見ると、インプラント治療の妨げとなる身体的な問題がなく、経済的な問題がないのであればインプラント治療という選択肢は、患者様のQ.O.L(クオリティ・オブ・ライフ※生活の質)をより良くする治療であると考えています。

バツ印を出す歯科医師

※1)上顎の上部構造装着後累積生存率は10年で96.1%であった.また下顎の2年累積生存率は100%であったが,10年では90.1%であった.

※2)1997 年にイタリアで報告された Appollonia らのコホート調査では,義歯を使用せず十分な歯数を 保持している群に比べて,義歯使用者の死亡は 1.3 倍 (HR:1.34, 95%CI:1.06-1.70),歯を喪失し,かつ必 要な義歯を使用していない者では,1.5 倍(HR:1.51, 95%CI:1.11-2.05)であった

※3)接着群の10年および18年累積生存率は55.4%であった.従来型群の10年累積生存 率は 59.1%,18年累積生存率は29.6%,22年生存率が23.7%であった

インプラントのメリット

  • 自分の歯と同じような使用感で噛める
    天然歯に近い咀嚼力を回復できます。
  • 清掃方法が他の天然の歯と同じ
    天然歯と同じように歯磨きを行います。
  • 周りの歯に負担をかけない(独立した歯が入る)
    入れ歯やブリッジのように周りの歯を傷つけません。
  • 天然の歯のような見た目をキレイに回復できる
    天然歯と区別がつかないほどのキレイに仕上げることが可能です。
  • 骨が痩せるのを防ぐ
    抜歯窩に人工歯根が入ることで骨の吸収を抑えます。

そしてこれらのメリットが、QOLを高めるというのがインプラントの最も大きなベネフィットとなります。

インプラントを模型を使って説明する風景

インプラントをしない方がいい人

インプラントは良い治療ですが、中にはインプラント治療をしない方が良い方や、向いていない人もおられます。

  • 禁煙を1日たりともできない方
    完全な禁煙がベストですが、最低でも手術後1週間は禁煙しましょう。
  • 食いしばりや歯ぎしりが強い方でないとガードができない方
    ナイトガードと呼ばれるマウスピースを付けて就寝しましょう。
  • 歯磨き・メインテナンスができない方
    プラークコントロールはインプラント・天然歯にとって最も重要です。
  • 骨が柔らかい・骨粗鬆症の方
    特にビスフォスフォネートの服用中の方は治療ができません。
  • 糖尿病(HbA1c7.0以上)の方
    食事でコントロールすれば治療可能な場合もあります。
  • 歯科医師の指示を聞けないない方
    歯科医師のアドバイスはインプラントを保つための最善の方法です。
喫煙風景

インプラントは相談から

インプラントはQOLを高める素晴らしい治療の一つです。しかし、このようにデメリットもあれば時にはリスクを伴うこともあることも事実です。

そのため、患者様がインプラント治療をするかどうかをご判断される場合は、患者様だけではなく治療を行う歯科医院を見極めることも大切になってきます。

判断基準として「滅菌はしているか」「自身の全身疾患や投薬中の薬について聞かれたか」「CT・模型・口腔内写真・レントゲン等の資料は撮っているか」「どのような治療計画を考えしっかり説明してくれているか」そして「歯科医師としっかりコミュニケーションが取れているか」など、デメリットやリスクに備えた医院であるかどうかが重要になってきます。

当院でも、もちろんインプラント治療の前にはカウンセリングや相談の時間を設けています。もし、当院での治療をご検討でしたら、これらをしっかり説明し、患者様にご判断頂きます。インプラントは歯科医師としっかり相談して治療するかどうか決めましょう。

インプラント相談の風景

この記事の編集・責任者は歯科医師の木戸星周です。

歯科医師 木戸 星周

略歴
2020年 国立大学法人岡山大学 歯学部卒業
2020年 愛媛大学 歯科口腔外科・矯正歯科 勤務
2021年 明石アップル歯科 入職
2023年 明石アップル歯科副院長
2025年 三宮アップル歯科院長就任
受講セミナー
SJCDベーシックセミナー
咬合補綴治療計画セミナー
受賞歴
growing up 2.0 tournament 優勝
三宮アップル歯科の院長
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インプラントのデメリットとリスク | 公開日: 2022/10/27 | 更新日: 2025/07/01 | by 三宮アップル歯科

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